
四つの柱

今私達の社会では、子どもの数が減り、家族の姿が変化し、 地域社会の関係が薄れてきています。
その為、お産を間近に見ることはもちろん、妊娠中の 女性とかかわったり、日常の中でおっぱい育児に触れたりする機会がほとんどなくなってしまいました。
多くの女性が、実体験することがないまま、自身の妊娠、 出産、育児を始めることになっています。
一方、生活スタイルが便利・楽になり、その結果、 "いきもの感覚" が薄れ、しなやかにたくましく困難を 乗り越えていくことが難しくなっています。
当院では、
を四つの柱として、多くの女性が、 ご自身の持つ感性・産む力・育てる力、 子どもの生きる力・育つ力に気付き、 自信を持って育むことができるように お手伝いをしたいと願っています。
そして私達の施設での妊娠、出産、育児の経験が、よい親子関係作りのスタートとなることを 心から願っています。
院長の経歴
名前 | 笠松堅實(かさまつ けんじつ) |
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職種 | 産婦人科医 |
役職 | 笠松産婦人科・小児科院長 |
生まれ | 和歌山県有田市 |
学歴 | 1973年 和歌山県立医科大学卒業 |
職歴 | 和歌山県立医科大学付属病院、公立尾崎病院(現阪南市立病院)、市立泉佐野病院(現りんくう総合医療センター市立泉佐野病院)などを経て、1983年 大阪府阪南市で、産婦人科・小児科医院を夫婦で開業。現在に至る。 |
学会関係 | ・日本産婦人科学会会員 ・日本周産期・新生児医学学会会員 ・日本母性衛生学会会員 ・日本子ども虐待防止学会会員 ・日本麻酔科学会会員 |
院長活動 | ・日本母乳の会運営委員 ・大阪母乳の会代表 ・第一回近畿母乳育児フォーラム運営委員長(2010年2月7日開催) ・いいお産の日in大阪実行委員 ・近畿母乳の会事務局 |
その他 | 1996年ユニセフより、「赤ちゃんにやさしい病院」に認定される(日本で6番目) |
早期母子接触(バースカンガルーケア)

カンガルーがお腹の袋で赤ちゃんを育てることはご存じですよね?
バースカンガルーケアの抱っこは、赤ちゃんとお母さんの肌が直接触れ合うよう、お母さんの胸の間に赤ちゃんを包み込むように抱っこします。
その姿がカンガルーを連想させるところから、バースカンガルーケアと言われています。
バースカンガルーケアとは
1980年代後半、スウェーデンの研究者によって、誕生直後、約1時間の新生児の驚くべき能力が報告されました。 生まれた赤ちゃんを母親の胸からお腹におくと、しばらくして目を開け、左右をうかがい、次いで首を振り、お腹をけ上がり、おっぱいにたどりつき、 乳首にむしゃぶりつく、という一連の姿が映像で紹介されました。
この出産時の早期母子接触(バースカンガルーケア)は、 母と子のきずな作りの面からも、母乳栄養・母乳育児の面からも現在世界の多くの出産施設で取り入れられています。
バースカンガルーケアの実際
赤ちゃんが生まれると、体温低下防止のため、インファントウォーマーで羊水などを 拭き取ったり(場合によっては酸素を供給したり)した後、お母さんの胸に戻ってきます。
(バースコーナーや床を使ってお産された方は、この間に バースコーナーで仰向き、立て膝になっていただきます)
お母さんに抱かれると、まるで安心したかのように赤ちゃんは突然静かになります。
この 時赤ちゃんは眠っているわけではありませんから、どうぞ話しかけてください。聞き覚えのある声を耳にして目を開けることでしょう。
どうぞ触ってください。お母さんのやさしい 指や手に接し活動を開始することでしょう。
出産後、約2時間分娩室のバースコーナーで休んでいただき、体重測定などの計測や処置はこの後に行います。
バースカンガルーケア、いろいろ
よく泣くとき(お部屋で、自宅で)に効果的です。赤ちゃんは包み込まれるように抱っこされるのがとても大好きです。
ただし仰向けでカンガルーしているうちに一緒に眠ってしまわないよう、気をつけてくださいね。
パパが裸抱っこするのを、パパカンガルーと言います。カンガルーのパパは抱っこできませんが、人間のパパは新米でもちゃんと泣き止ませることができます。
お部屋の温度(26~28℃くらい)に注意。エアコン、扇風機の風にも注意してください。
母子同室
私たちの施設では、WHO/ユニセフの『母乳育児成功のための10ヵ条』の第7条
「一日中24時間、母子同室を実施する」に基づいて、
出生直後からの母子同室を行っています。
生まれた赤ちゃんがお母さんと一緒にいることは、自然で、当たり前のことではないでしょうか。
母子に問題がなければ、
- 経膣(普通)分娩では、出生直後より同室
- 帝王切開分娩では、翌日より同室
(当日は赤ちゃんをお連れします。赤ちゃんに会うときっと痛みが和らぐことでしょう。もちろん当日からの同室も可能です)
母子同室の利点
1. 母親と新生児が適切な接触の機会をもつことができ、一般的にこの相互作用を病院のスタッフではなく母親がコントロールできる。
2. 母親は、乳児が早期に出す合図や要求、生活のパターンがよくわかるようになる。このため、家庭で乳児の要求に応えるための準備が容易になる。
3. 乳児は要求に応じて頻回に授乳されるため、すぐに充分な量の母乳を飲むことができる。母乳育児がうまくいく可能性が高まれば、それに伴う栄養上、免疫上および心理的な恩恵も増大する。
4. 乳児の啼泣が少ない。
5. 母親は、看護スタッフより早く医学的問題の症状や徴候を発見する。
6. 頻繁に授乳を行うため、乳児のビリルビン値が低くなり、黄疸が減少する。この結果、検査や光線療法の必要性が減る。
7. 感染症に罹患するリスクが小さい。
※「WHO勧告にみる望ましい周産期ケアとその根拠」 マースデン・ワーグナー著 より